涙の別れ、食器棚。

この食器棚は、古いお家から仲介業者を経てわが家へやってきた明治のもの。

とても気に入って10年以上わが家で働いてくれていましたが、もともとちょっと歪んでいたのが

引っ越しでさらにゆがみ、東日本大震災でさらにゆがみ、東北の気候の変化でさらにゆがんで

時には扉が突然外れて落ちて来て!ガラスが一枚割れてます。

でも、写真でみえるかな・・・今は創れないあのなみなみガラスなんです。

蜜蝋で磨いて大切にしてきたけれど、これ以上はもう危なくて。もう一度地震があったら崩壊しそうです。

 

母が遊びにくると、「古いし、鬱陶しいし、ぼろぼろだから買い替えたら?」なんて言ってましたが私にとっては宝物。

 

買い替えかな・・・うすうすわかっていても踏み切れず。

ある時、ふと思い立ったのは、買い替えられないなら代わりを持たなきゃ良いんだ!と、いうこと。

 

そりゃあ、ムリでしょう。と、家族の誰もがいいました。

それは、私はもともと大した量の食器を持っていないから。

さらに断捨離とかムリじゃない?食いしん坊の私が食に関する道具を減らすなど

無謀だと言われました。

 

でも、こんなに好きな食器の代わりを探すくらいなら!と。

 

キッチンに造りつけの棚を整理して、入れ方を考え直して、

なんとか2割程度の断捨離でとどめて全ておさまりました。

 

そして、大好きだった食器棚は、最後に磨いてあげてお別れ。

食器棚がずっとあった場所は、白い壁が現れてがらーんと。

こんなに白くて広かったんだなー。

 

でも、ちょっと清々しい気持ちになりました。

あの子の代わりなんて買わなくて良かった。

誰も代わりにはなれませんから。